風邪でもないのに喉や声がいつもと違うって、それ声帯の病気かもしれないから!
放置ダメ、ぜったい!
誰でも、日によって喉の調子が良い時もあれば、悪い時もあるでしょう。
ただし、「声が出しづらい」とか「声がかすれる」といった不調が続く場合、声帯に何らかの異常が起こっているサインかもしれません。
健康な発声とは
息(空気)を声(音)に変える、いわゆる「発声器官」において、もっとも重要な役割を担っているのが「声帯」です。
声が正常に生み出されるためには、以下の条件がそろっている必要があります。
・声帯を開くための呼気圧(息を吐くときの圧力)がある
・左右の声帯が隙間なく接している
・粘膜がはたらいて声帯を振動させることができる
この3つが満たされないと「嗄声」、つまり「かすれ声」になるのです。
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喉の中のはなし★おさえておきたい喉頭筋の仕組みとはたらき
音程や声質も、喉頭を使って調節しています。つまり、喉周りの筋肉をトレーニングすることは、歌ウマへの第一歩。イメージをつかむためにも、発声にかかわる器官の仕組みやはたらきを知っておきましょう。
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嗄声(させい)の種類
ひとくちに「かすれ声」といっても種類があって、原因や可能性が考えられる病気も違ってきます。
粗糙性嗄声(そぞうせいさせい)
「ガラガラ声」とか「ダミ声」、「雑音の多い声」、などと表現されるタイプの嗄声です。
声帯の振動が不規則になることで、このような声に。
風邪や咽頭炎が原因の場合が多いですが、声帯ポリープや喉頭ガンの人にもみられます。
プロ歌手や教師など、声を使う職業の人だけでなく、タバコの吸い過ぎやアルコールの飲みすぎによって、粗糙性嗄声になる人が少なくありません。
気息性嗄声(きそくせいさせい)
声帯が完全に閉じていないため、「スースー」と息漏れするかすれ方をしているのが特徴。
声帯結節や声帯萎縮、反回神経麻痺などを患った人にみられるのが、このタイプの嗄声です。
急性喉頭炎で声帯が赤く腫れている、慢性喉頭炎によって声帯が厚くなった、などの場合にも起こりえます。
無力性嗄声(むりょくせいさせい)
力がなく弱々しいかすれ声のことを、無力性嗄声といいます。
原因は、声帯や喉頭内の筋力が弱いこと。
筋肉に力が入らない神経筋疾患などを患っていると、この嗄声が起こりやすくなります。
いつ何科を受診する?
お医者さんは前述した嗄声のタイプなどを参考に、喉頭鏡検査や喉頭ファイバースコープ検査、喉頭ストロボスコピー検査などを行って、診断します。
さらに喉頭ガンなどが疑われる場合は、組織を取って病理組織診断がなされるでしょう。
こうした検査は、多くの耳鼻咽喉科で可能です。
ただし、近所に音声外来の病院がある人は、声に関するいろいろな相談もできるので、そっちがオススメ。
また、タイミング的にも迷うところだと思いますが、異変を感じたらぜひ早めに受診してください。
2週間くらい不調が続くようなら、とりあえず病院へGO!
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喉の病気5種
喉や声帯の病気のうち、ボーカリストにとって身近な5つをご紹介します。
急性喉頭炎/急性声帯炎
「急性喉頭炎」はウイルスや花粉、飲酒や喫煙、声の出し過ぎなどが原因で、喉頭が急激に炎症を起こす病気。
喉の痛みや声のかすれ、咳や発熱といった症状が現れます。
慢性と違って、急性の場合は炎症による腫れが強いため、息の通り道が塞がれて呼吸が苦しくなるケースが少なくありません。
また、喉頭の中でも特に声帯の炎症が強いと、「急性声帯炎」と呼ばれます。
ほとんどの場合、声を使わないようにしていれば自然に治ります。
ひと月しても良くならない時は、他の疾患かもしれません。
声帯ポリープ
おもに片側の声帯に、炎症性の血腫(血まめのようなもの)ができるのが、「声帯ポリープ」。
歌手をはじめ教師や保育士、僧侶といった、声を酷使する職業の人に多くみられます。
酷使や炎症によって声帯の粘膜が充血した状態で、さらに声を出し続けることで、血腫が生まれるのです。
ポリープができると声がかすれるのはもちろん、低くなったり長く続かなくなったりする人も。
ごく小さいうちなら発声を控えることで治りますが、ある程度大きくなってから治すには手術が必要です。
全身麻酔での手術で、術後1週間の絶対沈黙が一般的。
声帯結節(せいたいけっせつ)
指にできるペンだこのように、声帯の両側に炎症性のこぶができることを「声帯結節」といいます。
別名「謡人結節」と呼ばれるように、日常的に声を酷使する職業の人に多く、声がかすれたり長く続かなかったりという症状も、ポリープと同様。
ただし、結節の場合は日によって声の調子に波があるほか、小さい子供が発症するケースも珍しくありません。
保存的治療が基本で、発声を控えて声帯を安静に保ち、消炎剤の投与やステロイドホルモンの吸入を平行します。
それでも改善しない場合は、手術による結節の切除を検討する流れです。
反回神経麻痺(はんかいしんけいまひ)
「反回神経」とは、声帯の開閉や嚥下機能(ものを飲み込む力)をコントロールする神経のこと。
ここが麻痺すると声がかすれるだけでなく、呼吸が苦しくなったり食べ物が気管に入りやすくなったりします。
原因はさまざま。
突発性の場合もありますが、神経が多くの器官と複雑につながっているため、どの部分に障害が起こっても声帯に異常をきたすのです。
食道ガンや肺ガン、甲状腺ガンといった重大な病気に関わる麻痺の可能性もあるので、原因を徹底的に調べる必要があります。
喉頭ガン
喉頭に悪性の腫瘍ができるのが、「喉頭ガン」です。
原因は喫煙や飲酒といわれており、患者の9割以上は男性で喫煙者が多いのが特徴。
症状としては声のかすれ以外に、呼吸困難や誤嚥(飲食物が気管に入ること)が起こります。
ただし、中にはこうした症状がないまま、リンパ節に転移した後に気付く人もいるので、声や喉に異変を感じたら早めに受診することが大切です。
早期発見の場合は声を残したまま8割の人が治りますが、進行してからだと声帯を切除して声を失う可能性も。
すぐに病院行かなくちゃ!
喉の病気にならない・再発させないために
先にご紹介した5つの喉の病気は、どれもボーカリストの天敵。
とはいえ、反回神経麻痺を除いた4つに関しては、いずれも日ごろから意識しておくことで予防できます。
喉に悪い3つの習慣を避ける
声の健康のために、日常生活ではできるだけ次のような習慣を避けましょう。
悪い習慣その1:喉に悪い話し方
①叫ぶ、大声を出す
声帯を激しくぶつかり合わせている状態です。相手の近く(手が届くくらいの距離)に行って話したり、優しい調子で話すよう意識しましょう。
②長時間話し続ける
声帯に負担がかかります。所々は無言で頷くなどして、声帯を休ませながら会話しましょう。
③ささやく
声帯の間に空気を通しながら作られる声なので、声帯が乾燥しやすくなります。ささやく代わりに、やわらかくて小さい声を使いましょう。
悪い習慣その2:胃酸を逆流させる飲食
甘いものや脂っぽいものをたくさん食べた後や、炭酸飲料を飲みすぎたりして、喉に違和感や焼けつくような不快感をおぼえたことはないでしょうか。
これは、過剰に分泌された胃酸が食道から喉へ上がって来たため。
こうした逆流は、逆流性食道炎になっていなくても、喉への負担が大きいので避けるべきです。
食事中の姿勢が前かがみになっている人も、胃が圧迫されて胃酸が逆流しやすいので要注意。
悪い習慣その3:タバコ/アルコール
喫煙はガンのリスクを高めるだけでなく、タバコに含まれるタールやニコチンが、喉の粘膜を傷つけたり声帯を炎症させたりするので、やはり避けるべき習慣です。
一方のアルコールにも同じく、喉の粘膜を傷つけたり声帯を炎症させたりするはたらきが。
加えて、アルコールは脱水を引き起こすので、喉の乾燥にもつながります。
また何より、お酒の席では声が大きくなるうえに、カラオケを歌うなど声帯に悪い環境がそろっているので、注意が必要です。
お肌と同じく保湿が大切
声帯も筋肉なので、柔らかく弾力があってはじめて、正常にはたらくことができます。
また、発声時には左右がぶつかり合って振動するので、その衝撃を和らげるためにも潤いが欠かせません。
日頃から、声帯の「保湿」を意識して過ごしましょう。
そのためにはまず、水分補給。
季節を問わず、こまめに水分を摂ってください。
ただし、カフェイン入りの飲み物は利尿作用があるだけでなく、胃酸の分泌を活発化してしまうのでご注意を。
また、普段から絶対に意識したいのが鼻呼吸です。
吸い込んだ空気が鼻を通るときに適温・適湿になり、声帯に届くころには負担になりにくい状態に。
対して口呼吸だと、外気がほぼそのまま喉に入ってくるので、声帯に負担がかかりやすくなります。
さらに加湿器や吸入器、マスクなどを上手に使って、普段から身の回りの環境の湿度調節を心がけましょう。
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ボーカリストなら湿度を調節して乾燥から自分を守るべし!
ボーカリストにとって湿度が低い冬場は魔の季節。プロ・アマ問わず、ボーカリストなら日ごろから湿度をコントロールしておくことはとても大切です。乾燥することで起こる弊害や加湿の仕方などを解説。湿度を快適に保って冬を乗り切りましょう。
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