音がないところをわざわざ書く必要ある?
作曲家も演奏家も、優れた人ほど音のない空間を上手に使ってる。
むしろ、音のない「間」こそ聴く人の感動を呼ぶんだ。
優れたボーカリストは休符の意味を知っている
音符が音の長さを表すのに対して、休符は休みの長さを表します。
音符と休符の組み合わせ方次第で、曲全体のリズムが変わります。
結論:音楽は音がない部分こそ重要
かのモーツァルトも、「音楽の最高の効果は、流れる音と音の間に来る無音の状態にある」という言葉を残しています。
優れた作曲家や演奏家ほど、休符の重要性を知っているのです。
管理人ソメイも、たびたび先輩ミュージシャンから「人は音のある部分よりも、むしろ音のない部分を聴いているんだ」と言われてきました。
確かに敬愛するレジェンドたちの曲、特に黒人音楽を聴いていると、彼らがいかに絶妙な「間」の使い手かということに驚かされます。
また、オーケストラやブラスバンドといった大所帯の経験者ならわかると思いますが、全員が一斉に休符を入れた瞬間の「エアポケット」は鳥肌モノ。
何十人もの演奏者全員の息がそろっていないと生まれない、貴重な一瞬です。
気持ちよく音が重なる部分よりもアガるから不思議。
たとえば、このアースの曲もイントロの16分休符が曲全体の印象を決めていますね↓↓↓
歌も休符を意識することが大切
そもそも、作曲者は曲を作るときに、“そこにその長さの空白が必要だから”休符を入れているのです。
しかしボーカリストは曲を覚えるときに、楽譜で見るよりも音源で耳から覚えることが多いせいか、“どこまでその音を保つか”ということに無意識になりがち。
逆に、休符が上手く取れているボーカリストの歌は実に音楽的です。
聴く側にとっても、心の中にある音の流れと一致するため心地良く感じられます。
充分な間を取らず次の音、また次の音…と進んでしまうといわゆる「突っ込んだ」リズムになり、聴いていて慌ただしい印象に。
かといって、1音1音をすべて延ばしすぎてもリズムが生まれず、メリハリのないのっぺりとした歌になってしまいます。
そこに休符がある意味
曲の中では音符だけでなく休符も大切な役割を担っていて、そこに休符があることで
・緊張感が生まれる
・次の展開を期待するワクワク感が生まれる
・他のパート(楽器)が休符になることで、その時に鳴っているパート(楽器)に注目が集まる
といった効果があります。
つまり、休符があることで曲にメリハリが出て味わいが生まれたり、表情が豊かになったりするのです。
どアタマで流れる”スチャッチャッチャ”のリフは、あまりにも有名。これも休符が効いてるのです↓↓↓
休符への意識の仕方
歌を含め、バンド全体が楽譜に書かれた休符記号どおりに音を止めたら、それだけで曲にメリハリや統一感が生まれるのがわかるでしょう。
とはいえ、実際に楽譜通りに休符を意識するのは、意外と簡単なことじゃないですよね。
とらえ方のコツを紹介します。
休符の種類
楽器の教則本や音楽の教科書などには、休符は「休み」とか「休止」という言葉で説明されています。
しかし、これをただの休みと思ってはいけません。
ここで、休符を「間」とか「タメ」という言葉に置き換えてみてください。
1曲の中における休符の意味が見えてきませんか?
4分休符
4分音符と同じ長さの「タメ(間)」を作る合図
8分休符
8分音符と同じ長さの「タメ(間)」を作る合図
16分休符
16分音符と同じ長さの「タメ(間)」を作る合図
上級編ですね。
休符を感じる
初心者が休符を上手く使えるようになるために、まず初めに意識しなければいけないのが、「休符を数える」こと。
曲中で発声していない部分の長さは、つい曖昧になりがちです。
歌っている最中だけではなく、自分の歌を録音して、それを休符を数えながら聴いてみましょう。
休符の取り方がハッキリしなかったり、ツッコんで次の音に行っていることがわかるはず。
またボーカルの場合、休符の取り方が直接ブレス(息継ぎ)や呼吸にもつながります。
休符を数えることに慣れてきたら、次は休符で自然なブレスが取れるように意識しましょう。
フレーズ同士がスムーズに繋がり、豊かな表現に変わります。
そうなる頃にはもう「休符を数える」段階を卒業して、「休符を感じる」という優れたミュージシャンの段階に入っているはずです。