盲目・人種・ジャンル…あらゆる壁をもろともしない、本当に音楽の神様に選ばれたような人だよ。
若くして才能を発揮
音楽史を語る上で避けて通れない名門中の名門レーベル「モータウン」の顔ともいうべき、盲目の天才スティーヴィー・ワンダー。
50年以上のキャリアの中で、『My Cherie Amour（マイ・シェリー・アモール）』『I Just Called To Say I Love You（心の愛）』『Part-Time Lover（パートタイム・ラヴァー）』といったヒット曲をはじめ、これまでに1億枚以上のCD売り上げを誇ります。
まずは彼の生い立ちやデビュー、子だくさんの私生活についてみていきましょう。
近所で有名な天才児
スティーヴィー・ワンダー（Stevie Wonder / Steveland Hardaway Morris）は、1950年5月13日にアメリカのミシガン州サギノーで、6人兄弟の3番目に生まれました。
盲目は生まれつきではなく、早産だったために入れられていた保育器の過量酸素によるもの（当時は同じような事例が多発していたそう）です。
スティーヴィーが4歳のときに、夫の暴力とギャンブルに見切りをつけた母親が、子どもたちを連れてデトロイトに移住。
そこから子供たちを女手一つで育てました。
出典：soulwalking
聴覚が発達していたスティーヴィーの音楽的才能は驚異的で、子供のころからピアノ・ドラム・ベース・ハーモニカを、大人顔負けに弾きこなしていたのだとか。
同時に教会やストリートで歌ったり、盲学校のハーモニカバンドでは指揮も務めていました。
スティーヴィーの恩師
音楽以外の場面でも、彼の耳の良さが伺えるエピソードが。
ある日、学校で実験用のねずみが逃げたとき、担任の先生がスティーヴィーにねずみ探しを依頼。
周りの子たちが疑問に思う中、彼は期待通りすぐにねずみを捕まえたそう。
のちに、「先生が僕の能力を認めてくれたそのときに、僕の新たな人生が始まった」と話しています。
彼の才能にいち早く気づいて、自身を持たせてくれた良い先生ですね。
11歳でモータウンと契約
そんな天才児スティーヴィー。
11歳のときに自作曲を歌っていたところをミラクルズのロニー・ワイトに見いだされ、モータウンの社長ベリー・ゴーディを紹介されます。
彼の歌と演奏に驚いたゴーディは、その場で契約。
ステージネーム"リトル・スティーヴィー・ワンダー"が誕生したのです。
なお当時の契約では、年齢を考慮しスティーヴィーが21歳になるまで印税は会社で貯めておく、という取り決めに。
週給わずか2ドル50セントだったのだそう。
ゴーディさん、安い買い物してますなｗ
出典：soulwalking
何はともあれ、若くしてモータウンと契約したスティーヴィー。
4枚目のシングル『Fingertips - Part 1 & 2（フィンガーティップス パート1＆2）』で、全米チャートを制覇しました。
ちなみに、13歳でのビルボードHot 100 首位獲得は、いまだ破られていない史上最年少記録です。
声変わりする前のリトル・スティーヴィー↓↓↓
あ。その後1971年の5月13日、21歳になったスティーヴィーにモータウンが印税として100万ドル支払った事実も、ゴーディ氏の名誉のために書き添えておきましょう。
その後の大活躍を考えたら、切らなくてホント良かったよね。
作品だけでなく子どもも多産
スティーヴィーは私生活でもアップデートを怠りませんｗ
1970年には、モータウンの元秘書でシンガーソングライターでもあるシリータ・ライトと結婚しましたが、72年に離婚。
入籍という点では少し開いて、2001年にデザイナーのカイ・ミラードと結婚していますが、これも2015年に離婚。
2017年には、前妻との離婚成立前から交際していた24歳年下のトミーカ・ロビン・ブレイシーと結婚式を挙げていますが、籍についてはちょっとわかりません。
そんなスティーヴィーには、これまでに5人の女性との間にもうけた9人の子どもが。
産まれた順に並べてみると、こんなかんじ。↓↓↓↓↓
| 名前 | 生まれた年 |
| アイシャ | 1975 |
| ケイタ | 1977 |
| ムンタズ | 1983 |
| ソフィア | 1985 |
| クワメ | 1988 |
| カイラント | 2001 |
| マンドラ | 2005 |
| ザイア | 2013 |
| ニア | 2014 |
中でも第1子のアイシャ・モリスは、名曲『Isn’t She Lovely（可愛いアイシャ）』のおかげで世界的に知られてますね。
サポートミュージシャンとして、スティーヴィーのツアーに参加している姿を観たことのある人も多いでしょう。
アイシャ以外の子どもたちも、それぞれにミュージシャンやタレント活動をしています。
ちなみに全員、スティーヴィーと同じ本名「モリス」姓を名乗っていますが、次男のムンタズ・モリスだけはなぜか「Mumtaz Wonder」。
父親と同じ芸名を使って、潔く七光りを浴びていますｗ
イントロのリアルな笑い声は、当時のアイシャのものです↓↓↓
文字通りワンダーな才能
昔から、多くの一流ミュージシャンたちにリスペクトされ続けるスティーヴィー。
そのすごさをご紹介しましょう。
出典：soulwalking
受賞歴
30曲以上のビルボードTop10ヒットを放ち、グラミー賞では合計22部門、25回もの受賞歴（ノミネートはなんと74回！）を誇ります。
これは男性ソロ・シンガーとしては史上最多。
スティーヴィーは他にも
・ロックの殿堂入り
・ローリング・ストーン誌の選んだ歴史上最も偉大な100人のシンガー第9位
・国連平和大使受任
をはじめ、いろいろなところでその功績が認められています。
また、昔からジャンルや世代を超えてさまざまなアーティストと共演しています。
近年も、ダフト・パンクやアリアナ・グランデ、レディー・ガガといった人気アーティストたちとのコラボレーションが話題になりました。
レジェンドでありながらまだまだ最前線で活躍してくれているので、ファンとしてはうれしい限り。
何でもござれのマルチプレイヤーはいち早くシンセも導入
ライブでは通常、鍵盤楽器を演奏しながら歌っているスティーヴィーですが、ドラムやシンセベース、クロマチックハーモニカの優れたプレイヤーでもあることは前述のとおり。
そんな彼はモーグ・シンセサイザーやクラヴィネット、トーキング・モジュレーターなどをいち早く取り入れるフットワークの軽さも見せています。
新しい技術への貪欲さがうかがえますね。
ちなみに、『Superstition（迷信）』のイントロで聞こえるのが印象的な音がクラヴィネットです↓↓↓
ソングライティング＆プロデュース力
スティーヴィーのすごさはプレイヤーとしてだけでなく、名曲を次々に生み出すクリエイターとして、また他人の魅力を引き出すプロデューサーとしても優れているところ。
彼が他のミュージシャンに楽曲提供した一例↓↓↓↓↓
・スモーキー・ロビンソン＆ザ・ミラクルズ「Tears Of A Clown」
・スピナーズ「It's A Shame」
・サード・ワールド「Try Jah Love」
多作という羨ましい才能ですが、求めるクオリティは非常に厳しいらしく、これまでにお蔵入りした曲は数千にもおよぶのだとか。
そのため、毎回アルバム制作のときは収録する予定数の10倍近く作曲するというウワサも。
1976年の名盤『Songs In The Key Of Life（キー・オブ・ライフ）』収録曲も、2年前から書き溜めた約1,000曲の中から選ばれたものだったそうです。
天才かつ職人気質！
スティーヴィーの優れた作品は、『 NO MUSIC, NO LIFE. 』 タワーレコードの公式通販でも入手可能です。