日本のフジロックも、ウッドストックがなかったら誕生していなかったかもしれないね。
時代が求めた愛と平和の祭典
音楽は絶対に歴史と切り離すことのできない文化ですが、1969年に開催されたウッドストックほど時代を象徴しているものも他にないでしょう。
1960年代のアメリカはまさに「若者の時代」。
アメリカを、そして世界を変えようとしていた、当時の人気ミュージシャンたちと若者たちが集結した史上最大のロック・フェスティバルは、いったいどんなものだっだのでしょうか?
ゆるい町おこしのつもりが…
ウッドストック・フェスティバル(Woodstock Music and Art Festival)の会場となったのは、ニューヨーク州サリバン郡ベセル。
この田舎町にレコーディングスタジオを設立する目的と、ついでに若者が集まる町おこしにでもなれば、とゆるくスタートしたといいます。
当初、主催者側は「1万人くらい集まれば良いかな~」くらいに思ってたところ、出演アーティストが発表されるたびに注目度が上がったため、結局チケットを18万枚ほど用意。
ところが、実際には予想をはるかに超える40万人もの観客が来場。
しかも、その半数以上が「自由な音楽の祭典だろ?」と言って入場料を払わなかったため、事実上ほぼ無料ライブのようなスタイルになりましたとさ。
ウッドストック開催の時代背景
ウッドストック・フェスティバルが開催されたのは、アポロ11号が月面着陸した数週間後、1969年の8月15・16・17日の3日間(正確には延びて18日の昼近くまで)。
当時のアメリカはベトナム戦争の真っただ中で、徴兵制により多くの若者が戦地で犠牲になっていました。
この戦争に疑問を抱く多くの学生たちが反戦運動を繰り広げ、一方ではヒッピーと呼ばれる若者たちが愛と自由のフラワームーブメントを起こしました。
そんな若者たちの共感を呼んだのが、これまでの大人たちが聴いてきたものとは一線を画す新しい音楽。
常識にとらわれず、思いの丈を表現するスタイルのアーティストが次々と現れ、多くの若者の心を掴みました。
ウッドストックは、そんな時代が生んだ「愛と平和の祭典」だったのです。
ウッドストック・フェスティバルから名付けられたらしいよ。
愛と平和の音楽フェス
40万もの観客が集まったため周辺では大規模な交通渋滞が起こり、食糧不足や悪天候など幾多のアクシデントにみまわれました。
にもかからわず、暴力沙汰や逮捕騒ぎが起こらなかったというのが、このフェスが伝説と言われる最大の理由。
暴力事件や麻薬問題、病人が出たときの対処のために大勢の警察も動員されていました。
しかし、その必要はなかったようです。
雨でぬかるんだ道路にはまったパトカーを観客が運び出して助けた、なんてエピソードがあったほど。
また、ジャニス・ジョップリンに「隣でお腹を空かせてる子、それがあなたの兄妹よ」と呼びかけられた若者たちは、率先して食べ物や毛布をわかち合いました。
観客の一人ひとりが、このフェスを伝説へと押し上げたのです。
ちなみに、翌年ウッドストックを上回る規模のフェスがイギリスで開催されました。
が、こっちは60万人からしっかり入場料を取る主催者や、ギャラを受け取るアーティストたちに対して、怒った観客が暴徒化する大惨事に。
出演者も伝説
40万人の観衆も素晴らしかったですが、ウッドストックは音楽イベント。
なんといっても、当時のイカしたミュージシャンが多数出演しているのが魅力です。
ジミヘンやザ・フーなど、今では二度と観られない大物たちの貴重な出演をはじめ、さまざまなアーティストが参加していました。
若手のころのサンタナも出演していましたが、当時はまだほとんど知られていなかったそう。
出演アーティスト
フジロックスタイルなら、何日目に行くか迷うところ。
なのにこのメンツが3日間通し券で観られて、しかも無料なんて。。
■8月15日(金) 午後から深夜
・リッチー・ヘブンス オープニング、「Handsome Johnny」、「Freedom」、「High Flyin' Bird」など
・スワミ・サチダナンダ(インドの聖者)による祈祷
・スィートウォーター 「Motherless Child」、「What's Wrong」、「Why Oh Why」
・バート・ソマー 「Jennifer」、「She's Gone」、「Things Are Going My Way」、「Smile」
・ラヴィ・シャンカール 雨により途中で中止
・ティム・ハーディン 「If I Were A Carpenter」
・メラニー・ソフィカ 「Beautiful People」、「Birthday of the Sun」
・アーロ・ガスリー 「Coming Into Los Angeles」、「Walking Down The Line」、「アメイジング・グレイス」
・ジョーン・バエズ 「勝利を我等に」、「Joe Hill」、「Swing Low, Sweet Chariot」など5曲
■8月16日(土) 午後から翌朝
・ザ・クイル 「Waitin' For You」
・カントリー・ジョー・マクドナルド 「I Find Myself Missing You」、「Fish Cheer」など
・ジョン・セバスチャン 飛び入り参加
・サンタナ 「Persuasion」、「Soul Sacrifice」
・キーフ・ハートリー・バンド 「Spanish Fly」など
・インクレディブル・ストリング・ バンド 「Catty Come」、「This Moment Is Different」、「When You Find Out Who You Are」
・キャンド・ヒート 「オン・ザ・ロード・アゲイン」、「A Change Is Gonna Come」、「Going Up The Country」
・マウンテン
・グレイトフル・デッド 「St Stephen」、「Mama Tried」、「Dark Star/High Time」、「Turn On Your Lovelight」
・クリーデンス・クリアウォーター・リバイバル 「Born On The Bayou」、「Bad Moon Rising」、「Suzy Q」
・ジャニス・ジョプリン 「Piece of My Heart」、「ラヴ・サムバディ」など
・スライ&ザ・ファミリー・ストーン 「エヴリデイ・ピープル」、「Dance to the Music」、「Music Lover」、「I Want to Take You Higher」
・ザ・フー 「ピンボールの魔術師」、「マイ・ジェネレーション」、「See Me, Feel Me」、「サマータイム・ブルース」など24曲
・ジェファーソン・エアプレイン 「White Rabbit」など
・ジョー・コッカー
■8月17日(日) 午後から翌朝
・グリース・バンド インストゥルメンタル
・ジョー・コッカー (Joe Cocker and the Grease Band) 「Delta Lady」、「ウィズ・ア・リトル・ヘルプ・フロム・マイ・フレンズ」など
・カントリー・ジョー・アンド・ザ・フィッシュ
・テン・イヤーズ・アフター 「I'm Going Home」など
・ザ・バンド 「ザ・ウェイト」、「アイ・シャル・ビー・リリースト」など
・ブラッド・スウェット・アンド・ティアーズ 「Spinning Wheel」など
・ジョニー・ウィンター、フィーチャリングエドガー・ウィンター 「Tobacco Road」など
・クロスビー、スティルス&ナッシュ 「組曲: 青い眼のジュディ」、「ブラックバード」、「グウィニヴィア」、「ミスター・ソウル」、「グウィニヴィア」、「自由の値」など
・ポール・バターフィールド・ブルース・バンド 「Everything's Gonna Be Alright」など
・シャ・ナ・ナ 「カム・ゴー・ウィズ・ミー」、「The Book of Love」、「Duke of Earl」、「At the Hop」、「Teen Angel」など
・ジミ・ヘンドリックス 「パープル・ヘイズ」、「ヴードゥー・チャイルド (スライト・リターン)」など16曲
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
伝説となっているジミヘンの当時の様子が語られてます↓↓↓
出演を断ったアーティスト
ファンの期待を裏切って出演しなかったボブ・ディランや、後々まで出演なかったことを悔しがっていたジョン・レノンなど、断った人たちのリストもご紹介しておきましょう。
ウッドストックで観たかったアーティストが大勢名前を連ねています。
・ビートルズ
・ドアーズ
・レッド・ツェッペリン
・ジェスロ・タル
・ムーディー・ブルース
・トミー・ジェイムス&ザ・ションデルズ (en:Tommy James and the Shondells)
・バーズ
・ポール・リヴィア&ザ・レイダーズ (en:Paul Revere & the Raiders)
・ボブ・ディラン
・フランク・ザッパ&ザ・マザーズ・オブ・インヴェンション (en:The Mothers of Invention)
・フリー
・ジェフ・ベック(ジェフ・ベックグループ)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』