特にここ数年は感染症対策としても、現場の備え付けのマイクを使わない人が増えてるね。
こんなにあるの?マイクの種類
ひと口にマイクといっても、非常にたくさんの種類が存在しています。
特性も用途もさまざまで、こだわったらキリがありません。
まずは、その中でもメジャーなマイクの種類をいくつかご紹介しておきましょう。
ダイナミックマイク
通常のライブやカラオケなどで多く使われています。
マイク内部の振動板(ダイアフラム)に取り付けられたコイルが、音(声)によって振動することで、音(声)が電気信号に変換される仕組み。
そのため、マイク自体の電源は必要ありません。
感度が低いので小さな音や高音、遠くの音はあまり拾ってくれませんが、逆に自分の声以外の周囲の雑音を拾いにくいのはメリット。
比較的丈夫で、さまざまなシチュエーションで使用できます。
コンデンサーマイク
環境のそろったライブやレコーディングなどで、多く使われています。
音(声)により振動板が動き、固定された金属板との間に集まった電気量で音(声)を拾う仕組み。
電気を溜めて使うための、「ファンタム電源」という電源が必要になります。
感度が高いのでクリアで透明感のある音質です。
細かな音や遠くの音も拾ってくれますが、逆に周囲の雑音まで入ってしまうというデメリットも。
湿気や衝撃に弱く、使用は静かな場所に限定されます。
ファンタム音源とは?
電源といっても、マイクに電源ケーブルが付いているわけではありません。
コンデンサーマイクは必要な電気を得るために、ファンタム音源という”仕組み”を利用しているのです。
ファンタム電源は、マイクを接続するオーディオインターフェイスなどに備わっていて、キャノンケーブル(マイクケーブルの一種)を通してマイク本体に電気が供給されます。
別途電源ケーブルがなく、電源供給が直接目に見えないため、ファンタム(幽霊、まぼろし)という名前がつきました。
その他のマイク
ほかにもマイクにはたくさんの種類があります。
代表的なものをいくつか紹介しますが、「へー、こんなのもあるんだね~」くらいに知っておけば十分でしょう。
ピンマイク
ナレーションや講演会といった、音楽以外のシーンで多く使われます。
テレビのバラエティー番組で、タレントさんや司会者のみなさんが付けているのを目にしたことがあるはず。
小さく目立ちにくく、動きながらでも使用可能。
ちなみに、あの黒柳徹子さんが看板番組「徹子の部屋」に出るときは、ピンマイクを例のたまねぎ頭の中に隠しているんだとかw
ヘッドセットマイク
ダンスボーカルやドラマー、演劇の俳優に多く使われます。
ハンズフリーで激しい動きをしても外れにくい反面、息の音も拾ってしまうので使用には注意と慣れが必要でしょう。
ガンマイク
こちらもナレーションや講演会など、音楽以外のシーンで多く使われます。
最近では、YoutuberやV-loggerなどが動画作成で使うことも多いようです。
名前のとおり、特定の方向や離れたところに居る対象の音を狙って録音することが可能。
ライブに使うなら、丈夫だし値段もお手頃だからダイナミックかな。
特に最初の1本目なら、ファンタム電源がない場所でも使えるようにダイナミックを持っておく方がオススメだよ。
マイクの仕組みとケーブルについて
そもそも、マイクを通すとなぜ声や楽器の音が大きくなるのでしょうか?
ケーブルについても一緒に覚えておきましょう。
そもそも知ってる?マイクの仕組み
音は「空気の振動」です。
マイク(マイクロフォン/Microphone)とは、内部でこの空気の振動を電気信号に変換する装置。
変換方法はいくつかあって、ダイナミックマイクとコンデンサーマイクもこの違いによって分かれます。
電気信号に変えられたあとは、電気の強さによって音を大きくしたり遠くまで聞かせたり、録音したりすることができるようになる、というわけ。
意外と知らない人、多いんじゃないでしょうか?
マイクに接続するケーブルの種類
楽器と機材をつなぐケーブルも、音質の善し悪しに大きく影響します。
マイクケーブルを選ぶには自分のマイクの接続部と、ミキサーやオーディオインターフェイスといった機器の接続部、その両方の確認が必要です。
一般的なボーカルマイクに接続するケーブルは、以下の2種類。
XLR(メス)-XLR(オス)
音響機器同士をつなげるのに多く使われる「XLRケーブル」。
別名「キャノンケーブル」とも呼ばれます。
マイク背面(おしりの部分)に3つの穴があるメス端子を接続して、音を出力する機器には3つのピンが付いたオス端子を接続します。
電源を送ることもできるので、コンデンサーマイクを使う場合はこのケーブルが必須。
XLR(メス)-標準フォーン
マイク側は前述と同じくXLR(メス)で、出力側がエレキギターやヘッドフォンなどでよく見る「フォーン端子」になっているタイプもあります。
コンパクトなミキサーやオーディオインターフェイスには、XLR端子が付いていないものも珍しくありません。
代わりにフォーン端子(7mm~8mmくらいの穴)のみが付いていることが多く、このタイプのケーブルが必要です。
ワイヤレスが便利?ケーブル有無の違い
マイク選びにおいては、ワイヤード(有線)かワイヤレス(無線)かというのも迷うポイントでしょう。
ご存知のとおり、ボーカルマイクには一般的なライブハウスなどに置いてあるケーブル「あり」のタイプと、カラオケマイクなどに代表されるケーブル「なし」のタイプがあります。
有線のマイクは比較的音質が良く、音が途切れたりタイムラグを心配する必要がありません。
一方で無線のマイクは、ケーブルがないぶん比較的自由に動くことができるというのが、大きなメリット。
しかし無線は価格も高価で、本番中も電池残量などに注意しておく必要があります。
広い会場でのスピーチや、動き回るボーカルスタイルの場合は無線が便利ですが、演者があまり動かないのであれば有線マイクを使う方が安心です。
とはいえ、最近は無線タイプもずいぶんと音質が良くなっています。
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音を拾うのに方向がある?マイクの「指向性」の違い
マイクには「指向性」があるのをご存知でしょうか?
指向性というのは、音を拾う方向のこと。
ライブに使う場合も録音に使う場合も、指向性を考えてマイクを選ぶ必要があります。
無指向性(全指向性/Omni/ノンディレクション)
音を拾う方向がない、つまり360度すべての方向から音を均一に拾うタイプ。
大勢が参加する会議や、ホールの部屋鳴り(アンビエント)を拾いたいときに使われます。
逆に騒がしい環境の中で1つの音を拾うには不向きで、フィードバック(ハウリング)を起こすことも。
カバー角度:360°
感度がもっとも低い方向:なし
単一指向性(Cardioid/カーディオイド)
1つの方向から音を拾うタイプで、それ以外の方向の音は拾いません。
ボーカルや楽器といった幅広い用途で使われる、もっとも一般的なタイプです。
代表的な使用例は、ライブのボーカルや大勢の前での演説など。
無指向性と比べると1/3くらいの環境音しか拾わないので、大勢での会話や環境音まで拾いたいときには不向き。
カバー角度:131°
感度がもっとも低い方向:180°
単一指向性(Supercardioi/スーパーカーディオイド)
単一指向性の中でも、ふつうのカーディオイドより指向性が鋭いのがこのタイプ。
カーディオイドに比べて音を拾う角度が狭く、横からの音を遮断しますが、マイクの背面(ケーブル側)からの音に対する感度が高くなっています。
また、周囲の環境音を拾いにくく、フィードバック(ハウリング)が発生しづらいですが、使用時は常にマイクの正面を意識する必要があります。
カバー角度:115°
感度がもっとも低い方向:126°
単一指向性(Hypercardioid/ハイパーカーディオイド)
スーパーカーディオイドより、さらに指向性が鋭いタイプです。
双指向性の特性も少し兼ね備えていて、マイクの背面(ケーブル側)からの音に対する感度が高いのが特徴。
一方で横からの音を遮断し、フィードバック(ハウリング)に強いというメリットも。
指向性が非常に高いので、マイクの位置を正確に保つ必要があります。
カバー角度:105°
感度がもっとも低い方向:110°
双指向性(Figure8/ツインディレクション)
前面と後面の2方向から音を拾うことができるタイプです。
ラジオ番組での対談やデュエット曲の録音など、発生源が向かい合っている音を1本のマイクで拾いたいときに使われます。
とはいえ、多くの場合は1本ずつマイクがあれば事足りるので、無指向・単一に比べてあまりお目にかかる機会はないでしょう。
カバー角度:90°
感度がもっとも低い方向:90°
「dBV/Pa」ってなんの数字?
メーカーサイトの商品説明なんかで見かける「dBV/Pa」とは、いったい何の数字でしょうか?
dBVは電圧の単位、Pa(パスカル)は圧力(音圧)の単位。
1パスカルの⾳圧を受けたときに出力できる電圧の大きさを表しています。
通常はマイナスの値になっていて、0に近いほど音量が大きい(感度が高い)という目安です。
ちなみに、「Hz(ヘルツ)」は周波数を表す数字。
一般的に幅が広いほど高音質とされています。
どちらの数字もマイク選びの際には、ぜひチェックしたいポイント。
ただし、出力機器や環境などにも左右されるため、数値が必ずしも品質を保証するものではないことを覚えておきましょう。
初心者におすすめのボーカルマイク
じゃあ結局どれを買えばいいの?
と思った初心者ボーカリストに向けて、最後におすすめマイクをご紹介しておきましょう。
ダイナミックマイク
初心者がまずは1本持っておきたいダイナミックマイク。
この先買い足していく可能性を考えて、基準値にふさわしい定番マイクを選ぶのがオススメです。
SHURE SM58
プロ御用達の音響機器メーカー、SHURE(シュアー)社の看板商品SM58。
世界中で不動のロングセラーとなっているド定番ボーカルマイクで、日本でも昔から「ゴッパー」という愛称で親しまれています。
ライブハウスなどでもこれを置いているところが多いため、一からの音作りが不要なのは大きなメリット。
スイッチ付きの「SM58S」や、スーパーカーディオイド型の「BETA-58A」も同じく定番。
AUDIX OM3
前述の老舗メーカーSHUREに対して、同じアメリカで’84年に設立された比較的若い会社のAUDIX(オーディックス)社。
看板商品OMシリーズは90年代以降の新定番との呼び声が高く、中でもOM3がいちばんのスタンダードだとされています。
拾ってくれるレンジが広くハウリングにも強いため、コスパの高い1本といえるでしょう。
SENNHEISER e935
ドイツのSENNHEISER(ゼンハイザー)社も、人気の音響機器メーカーです。
管理人ソメイも最近買い足したe935は、感度が高くクリアに歌声を拾ってくれますが、それでいてクセがなくあたたかみも感じられる音。
出力音量を上げても、タッチノイズはほぼ聞こえません。
個人的に歌っている時に動くタイプなので935にしましたが、あまり動かずに歌う人や弾き語りの人にはスーパーカーディオイド型のe945の方が良いかもしれません。
コンデンサーマイク
ファンタム電源が供給できる環境さえあれば、ボーカリストの強い味方となってくれるコンデンサーマイク。
こっちも初心者におすすめのものをご紹介しておきましょう。
SHURE BETA87A
ゴッパーがダイナミックの定番なのに対して、BETA87はコンデンサーマイクの定番。
スーパーカーディオイド型の87Aと、カーディオイド型の87Cがあり、どちらも人気です。
音のバランスが良く、ゴッパーシリーズと比べても感度が高かったり音がクリアだったりするのが、初心者にもすぐにわかるでしょう。
コンデンサーの入門編として持っておいて、まず損をしない安心の1本。
AKG C7
オーストリア発祥の音響機器メーカー、AKG(アーカーゲー)のボーカルマイクといえば、かつてはC5が定番でした。
その上位モデルとして発売されたのがC7。
カーディオイドのC5に対して、C7はスーパーカーディオイド。
メッシュフィルターでポップノイズ(マイクに息が当たったときに起こる雑音)軽減はそのままに、さらに特殊なカプセル構造でハウリングを抑制します。
AKGは頑丈さにも定評があり、コスパの高い1本といえるでしょう。
NEUMANN KMS104
ドイツのNEUMANN(ノイマン)は、プロユースのスタジオ御用達の老舗音響機器メーカー。
ファンタム電源のシステムを作った会社と聞けば、初心者にもその技術の高さが伝わるでしょう。
レコーディング用マイクのイメージが強いNEUMANNですが、ライブで使えるハンドヘルドマイクにも当然そのノウハウが詰め込まれています。
KMS104はカーディオイド、KMS105はスーパーカーディオイド。
多少お値段は張るものの、ライブだけでなくレコーディングにも使えるので決して高くはないはず。
比較サイトなんかでもSHUREを基準に説明されてることが多いから、ゴッパーを使っていれば買い足す時にも判断しやすいしね。
最近は衛生面も気になるだろうから、同じゴッパーでもマイマイクを持参するのがオススメだよ。
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