みんな「レコードはCDより音がいい」って言うんだけど、ホント?
正確さでいえばCDだし、あたたかみでいえばレコードだし。
レコードとCDの違いとは?
レコードとCDといえば、どちらも言わずと知れた音楽界の二大媒体。
しかし、大きさやアナログ/デジタルの差という部分以外の両者の違いをうまく説明できる人は、意外と少ないんじゃないでしょうか?
レコードとCDの歴史
1877年にエジソンがレコードの原型「フォノグラフ」を作ってから、レコードは人類の歴史にずっと寄り添ってきました。
以来、アーティストの楽曲リリースもレコードが中心。
1970年代以降はクラブDJたちによって、ターンテーブルに乗せて手動で回転させる表現方法にも使われるようになりました。
ところが、1982年にCDが登場したことで音楽の歴史は大きく動きます。
音楽媒体といえばCDが当たり前の時代になるのです。
1986年にはCDの売り上げがレコードを上回り、以降レコードは衰退していきました。
往年の音楽ファンたちは、レコード絶滅の危機を嘆いていたものです。
ところが、レコードは再び2000年代後半からじわりじわりとマニアの支持を集め、最近では一般的な若者の間にも人気が拡大中。
人気アーティストたちもわざわざ新譜をリリースするときに、アナログ盤をプレスするほど。
世界中の音楽ファンの間でいま、レコードに熱い視線が集まっています。
レコードとCDの音質の違い
まず大前提として、レコードもCDも元の音源は同じ。
アーティストがレコーディングしたマスタリングテープです。
そこから記録される時点で、アナログ媒体のレコードとデジタル媒体のCDとしてそれぞれ製造されます。
アナログとデジタルという言葉だけ見ると、当然デジタルであるCDの方が音質が良さそうですが「レコードの方が音がいい」と主張する音楽ファンがいるのはなぜでしょう?
CDの音質
CDは、音源をデジタル化する際に音のゆがみやノイズをカット。
さらにはダイナミックレンジ(信号の情報量)を広げるなど、音を調整しています。
周波数という数字でいうと、22,000Hzまで。
ちなみに生演奏の周波数は40,000Hz。
さすがに目の前でライブを観ているときと同じ臨場感は再現できませんが、人間の聴覚がふつう20~20,000Hzの音までしか聴き取れないことを考えると、CDは充分な周波数を再現しているといえます。
レコードの音質
これに対してアナログのレコードには、音のゆがみやノイズがそのまま残ります。
さらに高調波(倍音のこと)のゆがみも多く含むので、正確さという意味ではデジタルであるCDにかないません。
ところが、こうしたゆがみこそが自然な音質を再現していて、人間の耳に心地よいのです。
数値でみてみると、レコードには22,000Hzをわずかに上回る周波数の音までが記録されています。
理屈としては人間の聴覚で拾えていないはずですが、どうやら人はデジタルではカットされる部分に音の広がりや深みを感じるようです。
周波数が高いと高い音として、低いと低い音として聞こえるんだよ。
録音・再生環境
どのレベルの周波数まで聴き取れるかは当然、個人差もあるでしょう。
また、録音環境や再生環境によっても違いが出ることも忘れてはいけません。
レコードの方が少し周波数帯域が広いといっても、そもそもレコーディングの際に広い周波数帯域を録音できるマイクがまずないので、CD以上の音質を記録できる環境というのはかなり稀です。
しかも、たとえ最高の環境で録音された音源であっても、レコードの場合はそれを再現できる環境で出力しないと意味がありません。
スピーカーだけでなく、カートリッジ(レコードプレーヤーの針を含むピックアップ部分)やアンプ、針やケーブルといった再生環境が音質を左右します。
もっといえば、レコードの盤面の状態という影響も。
1枚1枚手入れしたりオーディオにこだわったり、手間をかけてじっくり音楽と向き合うのがレコードの良さでもあるんだ。
レコードかCDかハイレゾか?これからの音楽の楽しみ方
ここまで読んで、「じゃあ結局レコードとCDはどっちが音がいいの?」と思ったあなた!
もう少しだけお付き合いください。
最近一般的になっている「ハイレゾ」音源も含めて、これからの音楽との付き合い方を一緒に考えましょう。
結局レコードとCDはどちらが音がいいのか?
CDは、音のゆがみやノイズをカットしたりダイナミックレンジを広げたり、レコードの欠点をカバーした作りになっています。
そして前述したように、レコードの音質は録音環境や再生環境にも左右されるもの。
と聞くと、
じゃあCDの方がいいんじゃん。
となりそうですが、答えはそう簡単でもないんです。
CDは周波数帯域を超えた部分をばっさりカットしているのに対し、レコードはなだらかに減衰させています。
レコードの方が音が自然だと言われるのは、このためです。
また逆にいえば、環境を変えることで1枚の作品をいろいろな音質で楽しめるのも、レコードの魅力。
皆さんも好きなアーティストのアルバムをレコードで買って、いろいろな再生環境で何度も味わってみてはいかがでしょうか?
結論
細かい音までクリアに聴こえるCDと、音にあたたかさや力強さを感じるレコード。
何をもって「音がいい」とするかは人それぞれです。
「レコードの方が〇〇だ」「CDの方が△△だ」ではなく、好みで選べばOK。
でも再生も手入れも面倒だから、パソコンに取り込んでデータで聴こうっと。
パソコンに取り込んだときに情報が欠損して、CD音源より低い音質になっちゃう!
最近はハイレゾ音質で取り込めるプレーヤーもあるから、データにするならそれを使うのがいいよ。
世界初!これ1台でハイレゾ保存もできるレコードプレーヤー。
ハイレゾとは?
ハイレゾとは、「ハイレゾリューションオーディオ(High-Resolution Audio)」の略。
解像度(Resolution)が高い、つまり高解像度の音源という意味です。
CDに入りきれない情報量を持った高音質な音源で、そのクオリティは記録されるときに圧縮されるCDの音とは段違い。
CDもハイレゾも、どちらも原音をデジタル化したものですが、より細かくデジタル化されているハイレゾの方が音の波形が原音に近いのです。
音の太さや奥行きなど、レコーディングそのものの空気感や、臨場感をほぼ忠実に再現してくれるので、アーティストのニュアンスや表現力を細かく感じることができます。
推しアーティストの楽曲はいい音で聴いてこそ。
これからの音楽との付き合い方
「レコードがいいかCDがいいか」「アナログがいいかデジタルがいいか」という永遠のテーマは、結局ひとことでは片づけられません。
それぞれに長所と短所が違うからです。
しかし国内外を問わず、最近は音質にこだわりのあるアーティストやレーベルの間では、音源はレコードでリリースするという流れに。
そして、そこにパソコンにも取り込めるようにMP3のダウンロードクーポンをつける、というスタイルが流行っています。
「最近のブームだから」「ジャケットをインテリアとして部屋に飾りたいから」「なんとなくツウっぽいから」、という理由でレコードを聴きはじめるのも良いでしょう。
きっかけは何であれレコード派が増えれば、音源の再現性を求めてより再生環境にこだわる人の増加にもつながり、高品質のオーディオ機器の価格もどんどんお手頃に。
そして、ますます音楽を身近な楽しみとして愛する人が増える…という好循環が生まれるはず。
普段は音楽をサブスクで済ませているという人も、この機会にぜひレコードを手にしてもらえたら嬉しいです。
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