ほかにも、みんなが知ってる童謡には、海外の民謡を日本語に訳した歌がいっぱいあるよ。
そもそものはなし~民謡とか童謡とか~
「民謡」とか「童謡」とか、学校の音楽の時間に聞いたこれらの単語。
よく考えたらそもそも違いがわからん、って人は意外と多いはず。
民謡とは
ひとことで言うと民謡とは、その土地で自然発生的に誕生し、歌い継がれてきた歌のこと。
労働の歌や子守歌、祝い事のときの歌など、生活や行事にまつわるものが多くあります。
炭坑節や佐渡おけさといった日本民謡は、現代音楽とは喉の使い方が違っていて、基本的に伴奏がないのも特徴です。
童謡とは
童謡は子供向けに作られた曲のことで、シンプルで歌いやすいという共通点があります。
幼稚園や小学校で子供たちがみんなで歌うイメージですが、明治初期~戦時中までは、学校教育用の歌は「唱歌」と呼ばれていました。
また、意図的に作られた童謡に対して、子供たちの間で自然発生して伝わった歌を「わらべ歌」といいます。
西洋音楽の輸入
外国の音楽が日本に最初に伝わったのは、1549(天文18)年。
フランシスコ・ザビエルが伝えた賛美歌などの教会音楽でしたが、つまりはキリスト教の布教活動のひとつでした。
その後、ペリー来航のときに米海軍の演奏が披露され、1871(明治4)年には日本の海軍・陸軍にも軍楽隊が誕生します。
しかし、こうした海外の音楽が一般庶民に広まるのは、明治末期以降。
一時期は戦争のため外国の歌が禁止されていましたが、戦後は音楽の教科書にも海外の民謡が採用されるようになりました。
お子のいないおうちでも一家に一枚↓↓↓
世界の民謡・童謡7選
ここからは、本題となる海外発祥の歌を、日本語訳が古い順にご紹介。
子供のころから慣れ親しんでいるだけあって、すっかり日本生まれだと思い込んでいる曲も多いのではないでしょうか。
蛍の光 / スコットランド
オリジナルは、スコットランド民謡『Auld Lang Syne(オールド・ラング・サイン)』という曲です。
稲垣千穎による訳詞が、1881(明治14)年に尋常小学校の唱歌に採用されました。
日本人にとっては閉店放送で流れたり、卒業式にみんなで歌ったりするイメージですが、原曲の歌詞は再会した旧友と酒を酌み交わすという内容。
スコットランドでは、大晦日にみんなで集まるとこの曲を歌うのが、お約束みたいです。
禁じられた遊び(愛のロマンス) / スペイン
1952年公開の映画「禁じられた遊び」の主題歌として、世界中に知れ渡った名曲。
クラシック・ギターの練習曲としても、古くから超定番となっています。
長い間、作者不明のスペイン民謡とされてきましたが、1913年にスペイン人ギタリストのアントニオ・ルビーラが『エチュード』というタイトルで発表していたことが、最近になって発覚。
複数の作者による日本語詞も存在し、NHK「みんなのうた」で放送されたり、『愛のロマンス』という曲名で音楽の教科書に掲載されたりしています。
クラリネットをこわしちゃった / フランス
1959(昭和34)年、石井好子によって訳詞がつけられました。
この愉快なタイトルは、原曲であるフランスの童謡『J'ai Perdu Le Do De Ma Clarinette』の直訳です。
実はさらなるオリジナルがあって、『La chanson de l’oignon(玉ねぎの歌)』という、その昔ナポレオン軍が歌ったとされる行進曲。
「オーパッキャマラド(Au pas, camarade)」という不思議な歌詞も原曲のまんまで、「行進しよう、仲間たち」という意味です。
鬼のパンツ(フニクリ・フニクラ) / イタリア
オリジナルは、イタリアの登山鉄道の宣伝のために作られた、世界最古のコマーシャルソングです。
「フニクリ・フニクラ」というのも、このケーブルカーの愛称。
日本では、1961(昭和36)年に青木爽と清野協が「♪行こう 行こう 火の山へ~」という訳詞を共作しました。
でも、子供のころに歌った「♪はこう はこう 鬼のパンツ~」という、作者不明の歌詞の方が印象に残っている人が少なくないはず。
大きな古時計 /アメリカ
ヘンリー・クレイ・ワークというアメリカ人が、1876年に作った『Grandfather's Clock』という歌がオリジナルです。
歌詞は、ヘンリーが旅行の際に泊まったホテルのロビーに置かれた、実在する古時計がモデル。
従業員によると、そこの経営者が亡くなったと同時に時計が止まり、以降は修理をしても何をしても2度と動かないとのこと。
原曲では90年のところを100年に変えている、1962(昭和37)年に保富康午が作った訳詞も傑作です。
ドナドナ / ウクライナ
1938年にユダヤ系アメリカ人によって書かれた曲で、複数の訳詞があるようですが、1965(昭和40)年にレコード発売された安井かずみによる歌詞が有名。
原曲のストーリーが、日本語でも忠実に再現されています。
ちなみに歌詞の「ドナ」は、牛を追うときの掛け声だという解釈がある一方で、「アドナイ(わが主よ=ヤハウェのこと)」の短縮系だという意見も。
さらに、市場へ売られる子牛は、ナチスの強制収容所に連行されるユダヤ人を表しているという説もあるようです。
森のくまさん / アメリカ
原曲は、『The Other Day, I Met a Bear』とか『he Bear in the Forest』などと呼ばれる、1960年代に広まったアメリカのスカウトソング。
といっても、これも『The Littlest Worm(小さな虫)』という曲の替え歌です。
スカウトソングというのは、ボーイスカウトのリーダーが1節歌ったら、周りの隊員たちがそれを繰り替えす歌のこと。
日本では1969(昭和44)年に雑誌で歌詞と楽譜が掲載され、以降は音楽の教科書にも載っていますが、日本語詞の作者が定かでなく、過去には馬場祥弘とも訳詞者不明とも表記されています。
初心者でも伴奏できる楽譜↓↓↓はじめての弾き語りにもよき♪