



だけど、大きく開ければいいってもんでもないんだ。
なぜ口の開け方が歌にとって大切なのか?
このサイトを訪れた皆さんの中にも、むかし音楽の先生から「はい!口を大きくひらいて~!」とハイテンションに教わった人がいるのではないでしょうか?
現在ボイトレに通っているボーカリストの皆さんも、トレーナーに毎回のように言われているかもしれません。
でも、そもそもなぜ口をひらくことが歌う時には重視されるのでしょうか?

Jaesung AnによるPixabayからの画像
【結論】大きく開けりゃあいいってもんじゃない
結論から言うと、歌うからといってただ口を大きく開けることが正しい発声方法ではありません。
もちろん歌うからには口をひらきますが、必要以上に大きく開けようとしないでください。
口を大きく開けようとすると、下あごに力が入ります。
すると唇や舌、喉など、口から首にかけてすべての部分にも余分な力が入って、発声しづらくなるのです。
小学校で習った「指が縦に3本入るように」ではなく、縦のスペースとしては「指2本」くらいまでと覚えてください。
口の開け方であなたの歌が変わる
ではなぜ、音楽の授業やボイストレーニングでは、口を大きく開けるように指導されるのでしょうか?
それは、そもそも皆さんが歌う時の口の開け方を意識できていないから。
プロのボーカリストでもない限り、ふつうの人が急に歌おうとすると口の開け方が小さくなりがち。
だから先生たちは、まずは口を大きく開けるようにと教えます。
にしても指3本は極端だけどw
大きく広げたいのは口先ではなく、口の中。
歌う時に正しい口の開き方ができるようになると、さまざまなメリットがあります。
- 声が響くようになり音の「抜け」が良くなる
- 声の印象が良くなる
- 音色(トーン)による表現力が上がる
- 発声(特に高音)が楽になる
- 声量が上がる
- 呼吸が安定する
響きの良い発声は良い口の開け方から
例えば、プロのオペラ歌手のように歌声がよく響く人は、体の中の「共鳴腔」と呼ばれる空間を響かせるのがとても上手です。
共鳴腔は何か所かありますが、口の奥にある共鳴腔が狭いと細い声やこもった声になってしまいます。
つまり、声を響かせるためにはこの口の奥の空間を広くすればいいわけですが、これを狭めているのが舌。
余計な力が入った舌は上がったり後ろに引っ込んだり、空気の通り道をふさいで声の響きを邪魔します。
じゃあどうすれば、舌が邪魔にならないのでしょうか?
口を大きく開けたからといって、舌の位置は変わりません。
舌や下あごに余計な力を入れずに共鳴腔を響かせる、というのがポイントなのです。
このあたりの詳しい話は、共鳴腔について解説したページを読んでみてください。
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共鳴腔で楽ちん♪声の響かせ方をマスターして喉を守ろう!
「声が小さい」「もっと声量が欲しい」と悩んでいるボーカリストは少なくないでしょう。しかし、むやみに間違った発声で大声を出そうとすると喉を痛める原因に。共鳴腔への声の響かせ方をマスターすれば、あなたの声は聴く人の耳に楽に届きます。
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口の開け方で歌の表情を変えよう
歌う時の口の開け方によって声のトーンや響きは変わる、つまり歌詞のニュアンスの伝わり方にも影響します。
歌が上手な人や話に説得力のある人は、意識している・していないに関わらず、口の開き方を変えることで言葉を伝えやすくしているのです。

photosforyouによるPixabayからの画像
歌う時の口の開け方とその種類
ひとことで口の開き方といっても、その形は大きく3タイプに分かれます。
たて
口を縦にひらくと口の中に空間ができて、声のトーン(音色)に響きと深みがでます。
一方でこもったようにも聞こえるので、少し暗い印象を与える声です。
よこ
口を横にひらいた時には口の中に空間があまりできないので、あまり響く声になりません。
特に女性の場合は、キンキンして聞こえるかもしれません。
しかし印象としては明るめのトーンで、感情を爆発させるような曲調にもピッタリです。
まる
丸くひらくというのは、口を縦にも横にも程よく開けた状態のこと。
声のトーンとしても、口を縦にひらいた時と横にひらいた時のちょうど中間で、バランスの良い響きといえます。
使い分けできるのがベスト
明るいアップテンポの曲なら明るい声、切ないバラードならしっとりなど、声が歌詞や曲調に合っていることが大切です。
また歌に限らず、日常生活でも同じことが言えます。
例えば、大切な話を人に説明するには落ち着いたトーンが良いし、営業先への挨拶なら元気な声が良いでしょう。
その時々に合わせた声が出せるよう、口のひらき方を使い分けられるのが理想的です。
母音の発音と口の開き方
曲に合わせて口のひらき方を変えられるようになるには、まず安定して正しい発音ができることが大前提です。
また、歌声を美しく響かせるためには、話すときよりも口を大きくひらく必要があります。

Rob SlavenによるPixabayからの画像
母音の発音
日本語には「あいうえお」の母音がありますが、これは発声をする時の口の形の基本です。
それぞれ正しい口の形で発音できるよう練習しましょう。
ここでは、5つ続けて声に出す時に口がスムーズに動かせるよう「あえいおう」の順でご案内します。
あ(a)
まず縦に指が2本入るくらいに口をひらき、口角をちょっとだけ笑った感じで横に少し広げで発音します。
下あごに力が入らないように気を付けましょう。
え(e)
「あ」の口をもう少し横に広げたのが「え」の口の形です。
「あ」の時より上下が少し狭くなりますが、口の中は広く使いましょう。
い(i)
「え」からさらに口を横に広げます。
両頬を上げて、口が平べったくならないようにするのがポイントです。
お(o)
口をとがらせて発音しますが、「う」より口の形はやや大きくなります。
5つある母音の中で、「お」が最も口の奥で響くことを感じてください。
う(u)
「お」の口をさらに縦にすぼめます。
だけど、口を閉じすぎると声が出づらくなるので、指1本入るくらいには広げましょう。
口の中をひらく
前述したように、歌う時に大きく広げたいのは口の入り口ではなく口の中です。
共鳴腔を広くするために、まずは共鳴空の位置を確認しましょう。
あくびをしたとき、口の奥の上の方が持ち上がるのがわかりますか?
ここは「軟口蓋」といって、軟口蓋の周辺は共鳴腔のひとつです。
この部分が動くようになったら、発声が楽になります。
あくびをする(またはしたフリをする)と、感覚的に口の奥が広がる感じがつかめるはず。
また、下あごに力が入ると口の中で声が響かなくなってしまうので、高音などで口を大きく開けたい時は口角や頬を上げるようにしましょう。
あごを下げるよりも、上の歯を見せるように口角を上げるのがポイント。
唇の端を耳に近づけるようなイメージです。
うまくできない人は、両手で頬を持ち上げてみると感覚がつかみやすくなります。


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