だから聴かないの?
同じような皆さんに向けて、今回はジャズ入門講座を開催するよ!
そもそもジャズってどんな音楽?
まずは、ジャズの「そもそも」から解説したいと思います。
ジャズの歴史
ジャズ(Jazz)は、19世紀末ころにアメリカ南部ニューオリンズの、黒人コミュニティで誕生したといわれています。
南北戦争の終わりとともに、軍の音楽隊に属していた白人たちが、要らなくなった楽器を捨てたり売りに出したりしました。
それを手に入れた黒人たちが、ブルースに合わせて即興演奏したことで、ジャズという新たな音楽が生まれたのです。
ちなみに語源は、性行為を意味する俗語(スラング)「Jass」から来ているのだとか。
当時、ニューオリンズの歓楽街では、遊女屋のことを「Jass House」と呼んでいました。
そこで演奏される音楽だから、「Jass Music」ということのようです。
ジャズとは
スウィングやオフビート、シンコペーションといったリズムの取り方や、ブルーノートと呼ばれる音階、即興演奏などがジャズの特徴。
まったく馴染みのない入門者にとっては、
・オシャレなバーやカフェで流れる、ゆったり落ち着いたムーディータイプ
・映画のBGMなどで使われる、アップテンポで華やかなアゲ曲タイプ
「どっちがジャズなの?」と思うかもしれません。
しかし、どちらもれっきとしたジャズ。
同じ黒人発祥のブルースが基本的にギター弾き語りなのに対し、ジャズはさまざまな楽器で演奏するので、多様な印象に聴こえるのも当然といえるでしょう。
なお、おもに3~8人の編成を「コンボ」といい、17人前後で演奏するのは「ビッグ・バンド」と呼ばれます。
そして、特にコンボでは何人編成であっても、各メンバーの個性や独創性が聴かせどころ。
「合奏」というより「重奏」が楽しめるのも、ジャズの魅力なのです。
ジャズの種類
ひとくちにジャズといっても、実はさらなる分類があります。
時代に合わせ、いろいろ変化を遂げてきた歴史があるのです。
細かく分けるともっとありますが、ここではその中から6ジャンルを年代順に挙げておきます。
- ディキシーランド・ジャズ(1910~20年代)
- スウィング・ジャズ(1930~40年代)
- ビバップ(1940年代)
- ラテン・ジャズ(1940年代)
- モダン・ジャズ(1950年代)
- ジャズ・ファンク(1970年代)
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ジャズ用語の基礎知識
ジャズの世界に足を踏み入れたとたん、「カルテット」とか「テーマ」とか、他ジャンルで聞き馴染みのない言葉が出てきて、そこに抵抗を感じる人もいるでしょう。
ざっくり紹介するので、軽い気持ちで読み進めてください。
編成人数とか楽器とか
ジャズの演奏は、編成によって大きく印象が違ってきます。
さらにボーカルを良しとするかどうかも、好みが分かれるところ。
それぞれの呼び方を覚えておくと便利です。
ソロ(Solo)/1人編成
日本語で「独奏」とも呼ばれます。
ピアノやギターといった、ひとりでメロディーもコードも弾ける楽器だけでなく、ジャズの場合はサックスをはじめとする単音楽器が1人で演奏することも。
デュオ(Duo)/2人編成
2人と聞くと「ソロ+伴奏」の組み合わせと考えがちですが、ジャズでは「ソロ+ソロ」という立ち位置にあることも珍しくありません。
サックスのような単音楽器のデュオから、20本の指で演奏するピアノ・デュオまで、どんな組み合わせでもアリなのです。
トリオ(Trio)/3人編成
モダン・ジャズ以降、「ベース+ドラム」を基本として、そこに別の楽器を加えた3人組が定番の構成になりました。
例えば、ピアノ・トリオなら「ピアノ+ベース+ドラム」を指します。
カルテット(Quartet)/4人編成
ピアノ・トリオまたはギター・トリオに、フロントと呼ばれるソロ楽器を加えるのが、最もポピュラーな構成。
管楽器がフロントになることが多いですが、ビブラフォンやギターが務めることも珍しくありません。
クインテット(Quintet)/5人編成
ほとんどの場合「トリオ+フロント+フロント」、つまりカルテットにさらにフロントが1人加わった構成のことを指します。
トランペットとサックスなど、違う楽器を組み合わせるのが一般的。
それ以上
基本的には、ピアノまたはギターのトリオがリズムセクションとして演奏の土台を作り、そこにフロント楽器が加わったぶん、人数が増えていく構成です。
・セクステット(Sextet)/6人編成
・セプテット(Septet)/7人編成
・オクテット(Octet)/8人編成
もちろん、これ以上人数が増えてもそれぞれに呼び方があります。
ビッグ・バンド(Big Band)/17人前後編成
管楽器を中心に15~20人くらいで構成されるのが、ビッグ・バンド。
アドリブ中心のコンボに対して、ビッグ・バンドではソロ以外はあらかじめ決められたアンサンブルを楽しみます。
各楽器の割合は、「17人定型」と呼ばれる構成で組まれるバンドがほとんど。
並び方にも定型があって、向かって右側が管楽器・左側がリズムセクションです。
トランペット×4人
トロンボーン×3人
バス・トロンボーン×1人
アルト・サックス×2人
テナー・サックス×2人
バリトン・サックス×1人
ピアノ×1人
ギター×1人
ベース×1人
ドラム×1人
その後ろの列がトロンボーンで、一番奥にトランペットが座ってるよ。
スタンダードとオリジナルの違いとは?テーマって何?
ジャズの曲には「スタンダード」と「オリジナル」があります。
また、曲中の「テーマ」についても解説しておきましょう。
スタンダード・ジャズ
ジャズの世界には、「スタンダード」と呼ばれる楽曲がたくさんあります。
古くから数多く演奏・録音されてきた、いわゆる定番曲のこと。
白黒の時代の映画の主題歌や、昔のポップス(オールディーズ)も多く含まれます。
スタンダード・ジャズと分類するための明確な定義は存在しませんが、長きに渡ってジャズ・ミュージシャンたちに愛され、この先も愛され続けることは間違いないでしょう。
オリジナル・ジャズ
スタンダードに対して、演奏者が自分で作った曲を「オリジナル」と呼びます。
現代のジャズ・ミュージシャンたちもオリジナル曲を作っていますが、ライブでそれだけを演奏する人はほとんどいません。
特に即席コンボの場合、スタンダードなら全員知っていて初対面同士でもすぐに演奏できるためです。
とはいえ、今は亡きジャズの巨匠たちが作ったオリジナル曲の中にも、現在スタンダードに分類される楽曲はたくさんあります。
テーマ
スタンダード・ジャズを聴いていると、最初と最後に聞き覚えのあるメロディーが登場するのに気が付くはず。
これが「テーマ」と呼ばれる部分で、フロント楽器はもちろんボーカルもここを歌います。
ジャズの曲は、基本的にどれも「テーマ→アドリブソロ→テーマ」という流れ。
しかも決まったコード進行に沿って演奏するので、即興演奏が可能なのです。
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入門者はここから!ジャズのオススメ定番曲10選
最後にオススメの定番曲をご紹介。
これ以外にもぜひ、いろんなミュージシャンのバージョンを聴き比べてみてください。
1930年代
Sing, Sing, Sing(シング・シング・シング) 1936年
スウィング・ジャズの代名詞的な曲で、上野樹里が主演した映画『スウィング・ガールズ』でも、象徴的に使われてましたよね。
ベニー・グッドマン楽団のver.が有名ですが、オリジナルはトランペット奏者のルイ・プリマ。
そんなグッドマンのクラリネットや、ドラマーのソロが心地いい貴重な映像をご覧あれ。
Take The A Train(A列車で行こう) 1939年
タイトルの「A列車」とは、ニューヨーク市地下鉄A系統のこと。
ちなみにあのアポロシアターがあるのもこの沿線で、125丁目駅で降りて向かいます。
まずはこの映像が、ビッグ・バンドの入門編としても、デューク・エリントンの入門編としてもオススメです。
In the Mood(インザムード) 1939年
ジャズをまったく知らない人でも1度は聞いたことがある、どスタンダード。
グレン・ミラー楽団が最初にヒットさせましたが、実はこの曲、1930年にウィンギー・マノンというトランペッターが作った『Tar Paper Stomp』タールペーパーストンプという曲のパクり!
でもお金で和解しているので、安心してお聴きください(笑)。
1940年代
You'd Be So Nice to Come Home To(帰ってくれたら嬉しいわ) 1942年
邦題に惑わされますが、直訳は「キミが待っている家に帰れたら超ステキだろうな」が正解。
映画の挿入歌として作られた曲で、劇中で戦場に行った青年が愛する女性を想って歌っていることからも、「僕が」帰れたら嬉しいのです。
まあ、ヘレン・メリルの歌を聴くと、この邦題もアリだと思えますよね。
Autumn Leaves(枯葉) 1945年
いまでは全アメリカ人が知るスタンダード・ジャズですが、元々はシャンソンのスタンダード・ナンバー。
ボーカルものもよいのですが、インストでもマイルス・デイビスやビル・エヴァンスをはじめ、天才たちが優れた録音をたくさん残してくれています。
ここでは、チャット・ベイカー&ポール・デスモンドの強力タッグver.で。
Tennessee Waltz(テネシー・ワルツ) 1948
カントリー・ミュージシャン、ピー・ウィー・キングとレッド・スチュワートが、移動中あっという間に完成させたという曲です。
のちにパティ・ペイジが大ヒットさせ、ビルボード首位を獲得。
「友だちに恋人を紹介したら奪われた」という、如何ともしがたいストーリーを歌っています。
1950~60年代
Fly Me To The Moon(フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン) 1954年
この曲を、「新世紀エヴァンゲリオン」のテレビシリーズのエンディングで知った人も、少なくないはず。
元々のタイトルは、ボーカル入りの場合に歌詞でも繰り返される『In Other Words』でしたが、ジョニー・マティス盤以降は現在のタイトルで知られるように。
ジャズ界の超大御所、フランク・シナトラver.のライブ映像で聴いてみましょう。
Misty(ミスティ) 1954年
ピアニストのエロル・ガーナーが、飛行機の窓から見えた虹にインスピレーションを受けて作曲したという名バラード。
ちなみにこの人も譜面が読めない、という天才ミュージシャンでした。
オスカー・ピーターソンがクラーク・テリーをフィーチャーしたver.には、誰もが心癒されるはず。
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Take Five(テイク・ファイブ) 1959
曲名にもなっている、5/4拍子という特徴的なリズムがクセになる1曲。
「5分休もう」という意味もあって、ボーカル入りの場合は「好きな人に5分でいいから自分を見てほしい」と歌われます。
でも、この曲はやっぱデイヴ・ブルーベックのオリジナルがいちばん。
Moon River(ムーンリバー) 1961年
アカデミー賞もグラミー賞も受賞している名曲です。
映画「ティファニーで朝食を」の劇中でオードリー・ヘプバーンが、自ら歌いました。
歌は技術じゃなくて心なんだと、あらためて感じる名シーン。
読みながら楽曲をチェックすれば、たくさんの曲を知るきっかけになるよ。