ここに記録が残ることを「ロックの殿堂入り」って呼ぶんだ。
長年の功績が認められないと候補にすら挙がらないから、殿堂入りともなると簡単な話じゃないよね。
ロックの殿堂とは
洋楽ファンなら1度は耳にしたことのある「ロックの殿堂」。
毎年発表されていますが、「そもそも何なの?」とか「ミュージシャンのための賞でしょ」とか思っている人も多いかもしれません。
ロックの殿堂とはそもそも何なのか?ロックミュージシャンのための賞なのでしょうか?
ロックの殿堂とは?
「ロックの殿堂(Rock and Roll Hall of Fame)」とは、アメリカ合衆国のオハイオ州クリーブランド、エリー湖畔にあるミュージアムのこと。
その名のとおり、ロックンロールの歴史やその発展に貢献したアーティストやプロデューサー、エンジニアなどの記録が展示/保存されています。
つまり、「ロックの殿堂入り」するということは、この博物館に自分の業績が展示/保存される、とても名誉なことなのです。
野球などのスポーツ界でもよく、名プレーヤーの長年にわたる功績をたたえて殿堂(Hall of Fame)入りした、なんてニュースを目にしますね。
あれのロック版のようなものです。
ロックの殿堂入りするための条件は?
選考対象は、デビューから25年以上経ったアーティストやグループ。
それまでの功績やロックへの影響度を考慮して選ばれますが、条件に一致していればロック以外のジャンルでも受賞が可能です。
まず、ロックンロールの歴史家が集まる指名委員会が候補者を選びます。
そして学者やプロデューサー、ジャーナリストなど、世界中に1,000人いるともいわれる音楽関係者の投票と、近年はファン投票を加算して受賞者が決定。
毎年12月に候補が発表され、翌5月に5~10数名ほどが殿堂入りを果たします。
ロックの殿堂の歴史
ロックの殿堂の管理団体は1983年4月20日、アトランティック・レコードの創設者アーメット・アーティガンによって設立されました。
1986年に、ニューヨークのアストリアホテルで第1回授賞式が開催され、チャック・ベリーやジェームス・ブラウンなどが殿堂入り。
以降は毎年開催されていて、アメリカではグラミー賞やビルボードミュージックアワード、アメリカンミュージックアワードと並ぶ、「4大音楽賞」のひとつとなっています。
2021・2022年は5月に殿堂入りが発表されて、秋にセレモニーが開催されたよ。
どんな部門があるの?
ひとくちに”ロックの殿堂入りを果たした”といっても現在4つの部門に分かれていて、対象となる音楽関係者も違ってきます。
また、授賞式で受賞者が、グラミーなど他の賞より長くスピーチするのも見どころです。
パフォーマー部門
「パフォーマー部門(Performers)」は、ボーカリストやボーカルグループ、バンド、楽器奏者を対象としていて、最も注目が集まる部門です。
授賞式ではよく殿堂入り達成者と、賞を授与するプレゼンテーター双方の演奏が披露されます。
毎年5~7名のアーティストが殿堂入りしているので、ここには書ききれませんが、
エルヴィス・プレスリーやアレサ・フランクリン、ビートルズ、ローリング・ストーンズ、スティーヴィー・ワンダー、アイク&ティナ・ターナー、ジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンス、ボブ・マーリー、レッド・ツェッペリン、エリック・クラプトン、アース・ウィンド&ファイアー、エアロスミス、マイケル・ジャクソン、U2、レッド・ホット・チリ・ペッパーズ、ホイットニー・ヒューストン
など、過去の受賞者は誰もが認める大物だらけです。
アーメット・アーティガン賞
パフォーマーと対照的に、音楽業界の舞台裏で活躍する人々を対象にしているのが、「アーメット・アーティガン賞(Ahmet Ertegun Award)」。
プロデューサーや作曲家、DJ、ライブ興行者、音楽ジャーナリストなどに贈られます。
以前は「ノン・パフォーマー賞」という名前でしたが、殿堂を設立したアーメット・アーティガンの死後、彼の名誉を称えて2008年に改名されました。
モータウンの生みの親ベリー・ゴーディーJr.や、マイケル・ジャクソンの黄金時代の立役者クインシー・ジョーンズといった大物も受賞しています。
アーリー・インフルエンス部門
「アーリー・インフルエンス部門(Early influences)」はその名の通り、ロックの初期に影響を与えたミュージシャンを称える部門。
カントリーやフォーク、ジャズ、ブルースなど、幅広いジャンルが対象です。
過去には、マディ・ウォーターズやルイ・アームストロング、ナット・キング・コール、ビリー・ホリデーといった、レジェンド・ミュージシャンが選ばれています。
ミュージカルエクセレンス賞
レコーディングにおけるセッション・ミュージシャンや、ライブにサポート参加するバック・ミュージシャンを対象とした賞です。
作曲家として評価の高いレオン・ラッセルや、Chic(シック)のギタリストで、プロデユーサーとしても活躍するナイル・ロジャースなどが受賞しています。
以前は、「サイドメン(伴奏者)賞」と呼ばれていましたが、2010年に「ミュージカル・エクセレンス賞(Musical Excellence Award)」と改名されました。
↓ポール・マッカートニーが、ビリー・ジョエルやエリック・クラプトンといった大物たちを引き連れてパフォーマンス。4大音楽賞はセレモニーもゴージャス♪
ロックの殿堂に関連する建物
ロックの殿堂ミュージアムがあるオハイオ州クリーブランドには、ミュージアムのほかに図書館と資料館もあります。
ロックファンのみならず、世界中から多くの観光客が訪れる人気スポットです。
ロックの殿堂ミュージアム
五大湖のひとつ、エリー湖のほとりに建つ「ロックの殿堂ミュージアム(The Rock and Roll Hall of Fame and Museum)」。
1万 4,000 ㎡にもおよぶ広い館内に、10万点以上の資料が展示/保存されています。
見どころはなんといっても、レジェンド・ミュージシャンたちに関する常設コレクション。
殿堂入りした大物アーティストたちが、実際に使用した衣装や楽器、有名プロデューサーの機材などが所狭しと並んでいます。
またアクティビティも音楽的で、その場で楽器を借りてジャムセッションができるスタジオがあったり、無料の楽器レッスンに参加するのもオススメ。
もちろん、オリジナルグッズが手に入るギフトショップや、ゆっくり休憩できるカフェも併設されています。
ロックの殿堂図書館&資料館
ミュージアムとは少し離れたところですが、同じオハイオ州クリーブランドのキャンパス地区には、「ロックの殿堂図書館&資料館(The Rock and Roll Hall of Fame – Library & Archives)」も。
ロックの歴史に関する資料が保管されています。
たくさんの本や雑誌を読んだり、音源や映像を確認することができるので、学者やジャーナリストなどにもよく利用されているそう。
来年はどんな大物アーティストが殿堂入りするのでしょうか?
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