コツさえつかめば、リップロールは簡単だよ。
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リップロールの効果
初心者からメジャーアーティストまで、多くのボーカリストが日々の練習に取り入れている、リップロール。
昔から定番化しているのには、理由があるのです。
リップロールとは
「リップロール(Lip Roll)」は、息を吐きながら(または声を出しながら)唇をプルプルと震わせる、基本的な発声練習法のひとつです。
海外では「リップトリル(Lip Trill)」とか、「リップバブル(Lip Bubbles)」なんて呼ばれることも。
子供のふざけた遊びように見えるかもしれませんが、リップロールがもたらす効果は絶大。
そのため、ボーカリストだけでなく、アナウンサーや声優といった「声のプロ」の多くが、日常的に実践しています。
ウォーミングアップやクールダウンとしてはもちろん、リップロールをメインにトレーニングしたり、ミックスボイスの練習に取り入れたりするのもオススメ。
大声でなくてもできるので、自宅や本番前の舞台袖など、場所を選ばずいつでもできるのも、定番化した理由のひとつといえます。
米国版「徹子の部屋」こと「エレン・ショー」でのひとコマ↓↓↓ゲストのセリーヌ・ディオンが、司会のエレン・デジェネレスにリップロールを教えています(日本語翻訳可)。
リップロールの5大効果
リップロールには、おもに以下のような効果が期待できます。
声が出しやすくなる
リップロールは喉や口周りをほぐすので、そこから体の緊張が解けてリラックスした状態に。
また、深い呼吸を意識することで自律神経も整い、肩の力が抜けて声が出しやすくなります。
そもそも、口周りに余計な力が入っているとリップロールはできません。
喉や口周りをリラックスさせた状態で声を出す感覚を、リップロールで体に覚えさせましょう。
正しい音程がとれるようになる
リップロールで音程を上下させようとしたとき、動かせるのは声帯だけ。
唇や口の中の形を変えて調整することができないため、声帯の動きだけで音程をコントロールする力が鍛えられます。
また、リップロールで出した声は骨伝導で内耳に伝わるので、音程のわずかなズレも聞きとりやすいはず。
シビアな耳で練習しておくことで、ふだん歌うときのピッチも安定します。
声量をコントロールできるようになる
自身にとってちょうど良い呼気量を覚えるのにも、リップロールは役立ちます。
呼気(息を吐く量)が強すぎても弱すぎても、唇は上手く振動しません。
逆に、振動が均等に続いているときは、呼気量が一定に保てている証拠。
つまり、音の大小や高低にかかわらず、安定したリップロールができるようになれば、実際の歌の中でも、声量が自在にコントロールできるようになるのです。
地声と裏声の切り替えがしやすくなる
リップロールには、地声と裏声の切り替えがスムーズになるという効果も。
歌の中で高い音を出そうとしたときに、声が裏返ったり音程が外れたりしてしまう原因のひとつは、声量の極端な変化です。
リップロールで最適な呼気量がキープできるようになると、これが防げます。
また、リップロールは声帯の動きを滑らかにするので、地声から裏声への移行が楽で自然なものになるでしょう。
呼吸筋が鍛えられる
人間が歌うためには呼吸筋、特に横隔膜のはたらきが欠かせません。
呼吸筋の動きが鈍ると、歌うのに必要な息を吐きだすことができず、喉周りの筋肉で代用しようとしてしまいます。
すると、いわゆる「のど声」になって発声器官を傷めることに。
無理のない自然な腹式呼吸を体が覚えるまで、喉に負担のないリップロールを繰り返し練習して、横隔膜を刺激しましょう。
なので、声ではなく美容目的として、毎日リップロールを続けてる女性も少なくないようです。
リップロールのやり方とコツ
メリットがわかったところで、ここからはいよいよ実践です。
すぐにできないという人も少なくないので、コツがつかめるようになるまで、何度もトライしましょう。
いざ挑戦
始めて挑戦する人は、下の順番でやってみてください。
- まずはリラックス。顔や上半身の力を抜いて、息を吸うのは鼻から。
- 唇を閉じて軽くつき出す(軽いアヒル口を作る)。固く閉じるのではなく、あくまでリラックス。
- やさしく息を吐き、唇を震わせる。「プルルル…」という振動音が出たら成功。
- 慣れてきたら、③をやるのと同時に声を出す(音の高さは楽なところでOK)。
- まずは10秒続けられるのを目標に。
上手くできないときは?
「ぜんぜんできない」または「10秒も続かない」という人のために、リップロールを上手に発声するコツをお伝えしましょう。
以下のような原因によって、思うようにできていない可能性が考えられるので、これらに気を付けて再びやってみると、案外あっさりとできるかも。
原因その1:余計な力が入っている
余計な力が入っていると、唇の振動は上手く続きません。
唇を閉じるのも息を吐くのも、「軽く」がポイント。
リップロールの「Pu~」の「P」より「u」で音をのばすイメージで発声すると、脱力して長く続きやすいかもしれません。
もともと表情筋が硬い人は、先に口の周りやほっぺたをマッサージしてからやると良いでしょう。
原因その2:息が漏れている
脱力が上手にできていても、唇が開いてしまっていると息が漏れて振動になりません。
「スー」という息漏れの音が大きい人は、もう少しだけ唇を閉じてみて、振動しやすい力加減を探ってみましょう。
また、息漏れの原因が唇の乾燥にあることも。
その場合は水をひとくち飲んだり、リップクリームで保湿したりしましょう。
原因その3:口角が下がっている
口角(笑ったときに上がる口の両端)を上げることで、自然と緊張がほぐれてリップロールがやりやすくなります。
口角を上げるのが難しい人は、左右それぞれの人差し指を口角に縦に軽く添えて、少しだけ持ち上げながらやってみてください。
しばらくは、指を添えたままでスケール練習などを続けてもOK。
慣れてきたら、指がなくてもできるようになるでしょう。
それでも上手くいかないときは、マンツーマンのボーカルスクールへ体験レッスンに行って相談してみるのもオススメ↓↓↓
ボイトレへの応用
リップロールが上手にできるようになることが、ゴールではありません。
本来の目的は、リップロールをふだんの練習に役立てること。
いろいろな使い方ができますが、基本としてはまず、ロングトーンがあります。
その日最初のリップロールは息だけで15~20秒のばして、次に楽な高さの声を入れて。
また、リップロールでのスケール(音階)練習も定番のボイトレ法です。
そのとき、1回目は小さく・2回目は大きくなど、音量も変えながらやると良いでしょう。
なお、こうした歌のトレーニング方法は、ほかにもたくさんあります。
リップロールが上手にできない人はもちろん、できるようになったけどほかのボイトレもやってみたいという人は、プロの指導者によるボイストレーニングを受けることをオススメします。
おいらがんばって練習するよ!
歌の練習をするときは毎回、ウォーミングアップやクールダウンにとり入れてね!